写真と文-片山虎之介
江戸時代から日本人に愛されてきたそばは、正しく作れば大変美味しい食べ物となる。
美味しい十割そばを作るには、まず材料が良くなければならない。香りも味もないそば粉で打った麺からは、香りや味が感じられるはずがない。
材料を厳選し、製粉、そば打ちにも留意して、材料の味わいを引き出したそばは、市場に大量に流通している「十割そば」とは、まったく別の食べ物と思えるくらい美味しい。
十割そばの美味しさは、大きく、次の3つの要素で構成されている。
1 香り
十割そばならではの清々しい香りが豊かに感じられる
2 味
控えめでありながらしっかり主張する、そば独特の穀物の味わいを楽しむことができる
3 食感
十割そばでなければ出せない、ほどの良い硬さ、コシを備えたそばは、舌触り、噛み心地、喉越しなどが楽しめる。粗挽きのそば粉を使って打った十割そばは、麺の表面に、そばならではのゴツゴツ感、凹凸感があり、口腔内への刺激を楽しむことができる
以上の3つの感覚を、「あ、この感じか」と認識できたなら、あなたは本当の十割そばを味わったと言うことができるだろう。